ピージー|医療とデザイン

 ピージーは医療のコミュニケーションに携わり、医療情報をわかりやすく設計し、医療分野に専従するデザインとクリエイティブコンサルティングの会社です。

 医療用医薬品、医学専門書から省庁や教育機関、病院・医療施設、NPO等が発信する情報デザインまで新しい領域を切り開くため、汗と泥にまみれる会社です。

 全てのヘルスケア企業にCDO(デザイン最高責任者)を。そして医療の全てにデザインをもたらすことをミッションに、医療情報を設計するスペシャリスト、デザインを携えて領域を横断するジェネラリストとして目の前の課題を解決する情報デザインを提案いたします。

 近年、デザインはテクノロジーの進歩や教育の成果もあり、大きな進歩を遂げ、高い完成度と洗練された表現を獲得しました。その反面、デザインは必要以上に美術、ファッションなど文化的イメージと安直に結びつき、経済合理性に適った「趣味の良い」価値観を形成しています。

 巷間では既存のデザインの焼き直しが繰り返され(リデザインが斬新な発想のように?扱われ)、デザインのためのデザインのような自己模倣的な表現か、好事家に向けて中身がない表面的な意匠をあつらえることがデザインの本質であるかのように扱われています。それは表面でしか物を見ない網膜的デザインとでも言うべきもので、今時のデザイナーが得意とすることは、物事をゼロから作り上げるようなイノベーションではなく、外側のお仕着せを替えるだけの薄っぺらいリノベーションなのです。

 原義的にはどちらも重要なことですが、本来デザイナーに期待されるイノベーションはデザイナー以外から起こっています。「本や新聞を読まなくなった」「テレビがつまらなくなった」ことと同じように、広告やグラフィックはつまらなくなったし、伝統的なメディアはもう時代遅れで不要だと考えている方も多くいます。

 それはネットやスマートフォン、ソーシャルネットワークなどチャンネルの多様化に伴う人々の間の分断や情報格差が原因ではありません。無思考のまま与えられた制度を受け入れ、無批判的に経済合理性のみ目指し、ただ技術的に洗練することにのみ力を注いだ作り手から、周囲に影響を及ぼし、物事を変えていく力――アイディアと創造性が失われたからです。

 本を読まなくなったのは面白い本がないからで、テレビを観ないのはただ単に番組がつまらないからです。予算がないからでも規制が厳しいからでもなく、ましてや人々の知性や感性が貧しくなったわけでもありません。新しい何かを生み出すのは人間で、それを受け取るのも同じく人間でしかありえないのですから、結局モノづくりに携わっている人々に新しい困難への挑戦がなくなったのです。昨今のデザインは誰かが作ったコンセプトに便乗することが当たり前で、イノベーションではなく悪しきリノベーション志向が蔓延しています。

 進歩を加速させるテクノロジーや利便性の追求だけが、イノベーションではありません。ピージーはまだ見たことがない医療とデザインの新しい関係を構築し、クライアントと共に広く社会に貢献できる可能性を模索します。医療に関わる情報を、医師など医療従事者から広く一般社会に対してまで、より正確に、よりわかりやすく、より早く伝える情報設計をすること。目の前の問題に対処するデザインを提案すること。実践的であること。困難な状況にある人が希望を感じる新しさがあること。

 タフな仕事ですが、コンセプトを曲げて内容を取り繕うように着飾ったり、本質を見つめず検索順位を上げる仕組みだけ考えているよりは、少しだけ世界を変えることに近いかもしれません。そう考えると、ちょっとワクワクしませんか^_^