ピージーを設立いたしました。

日本のデザインはとてもレベルが高いと世界で評価されている反面、国内においてどうしても「お洒落」な洋服やプロダクト、派手な広告やアートのことだと思われがちです。世間からは暗黙のうちに、情緒的で頭のゆるいもの、お金を稼ぐための道具とみなされ、特に医療分野に対するデザインの進出は、及び腰になっています。

デザイナー自身もそう考えている節があり、私がメディカル関係の仕事をしていると言うと、残念そうな顔をするデザイナーに何人も会ってきました。
日本のデザイナーは広告代理店で働くことも含め、インハウスデザイナーとして成長するのが一般的で、企業の営利活動から独立した仕事を考える機会が少ないのも一因なのかもしれません。
デザインには単なるビジネスや良き趣味を超えて、社会的に果たせる役割があるという発想が希薄なのです。営利活動から独立したメディカル・デザイン・センターみたいなものがあればいいのに、などと夢想してしまいます。
しかし、IDEOやFrogのような海外の著名なデザイン・コンサルティング会社は、グラフィック、プロダクト、インテリアなど領域をまたぐようにして社会問題の解決にも力を発揮いたしますし、病院や医療機器のデザインにも積極的に携わり、それを先進的な事例として、ある点においてはセールスポイントにしています

■ デザイン会社として医療分野に携わる

日本では単一の事例はあっても、インディペンデントなデザイン会社が継続的に医療に携わった事例が乏しいのです。お菓子やお酒の広告、芸術のプロモーショナルな一面を支えるなど文化的な貢献も素晴らしいことですが、デザインの、いや、自分の目指すべきことはそれなのだろうか。私の経験を生かして、もっと直接的に社会、医療の中で役に立てないかと考えたのが会社設立のきっかけでした。

社名であるピージーとは、私がフリーランスの頃から使っている屋号で“Practical graphics”を略したもの、実用的な本当に役に立つグラフィックという意味を込めました。
現在は概念をより拡張して、グラフィックのアイディアと発想力を基礎にしたデザイン全般としています。
または、単なる機能主義を超えて“Peopleとgraphic”を結びつけるもの、“Personとgood”など、あくまで人間の自然な感覚に寄り添ったデザイン、単純に良いものなどです。
人と人、子供が寄り添っている形のようにも見えると言ってくださる方もいました。
いいものをすべて取り込めると素敵だと考えています。

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